当店では中古の楽器は勿論、輸入した新品の楽器も、お渡し前に
楽器全体の調律を必ず行っています。
低価格な中国製の物からイタリア製の高級機でも同じように行っています。
それは、新品でメーカーから届いた楽器が不完全な状態で
そのままお渡しできないような状態だからです。
つまり、輸入したままの状態の新品の楽器の調律は不完全という事です。
こんな風に言うと単に買って欲しいから大袈裟に言っているのだろうと
思う方もいるかも知れません。
でも、そんな事はなくて本当にお渡しできるような状態ではないのです。
また、アコーディオンは調律を意図的にずらす事で独特の波を伴った音を得ていますが
この波の速さは調律で任意に変えられ、
同じ楽器であっても調律の加減で全く違った音になってきます。
なので購入したお客様の好みや、主に演奏するジャンルに合わせた音にする為、
お渡し前に調律をするのは必須の作業となります。
実際、輸入直後の調律の状態というのはどんなものか?という事に
興味がある方もいらっしゃると思います。
今回、当店で販売している中国製の「Goldencup」という楽器の26鍵盤を
ご購入いただく事があり、お渡し前の整備、調律を行った時に初期の調律状態を
調べてみたので報告させていただきます。
上のグラフは26鍵盤(B~C)の全ての音階について、メーカーから届いたままの状態で
調律がどのようになっているか調べたものです。
縦軸は調律のピッチで、ズレがなければ0です。
高い方にずれている場合は+の値、低い方にずれていれば-の値になります。
単位はcentというもので、これは半音の違いを100等分した数値です。
なのでC(ド)からC#(ド#)までは100centの幅があるという事になります。
調律が100centズレたら半音違う音が出るとも言い変えられます。
横の軸は鍵盤を押した時に出る音階です。この楽器は26鍵盤なので26音分あります。
アコーディオンは蛇腹を開く時と閉じる時で同じ音程でも違うリードが鳴っています。
リードが一方向からの空気の動きでしか鳴らないので、蛇腹の開閉で空気の向きが
変わっても音が出るように向きを変えたリードが付いて一対となっています。
その為、上記のグラフでは同じ音階に2つのプロットがあります。
◆が蛇腹を開いた時で、■が蛇腹を閉じた時です。
さて、理想的な調律状態はピッチが0になっていないといけません。
当然、蛇腹の開閉でも同じように0になっている必要があります。
ですが、グラフを見ての通り、どの音階もかなりの幅を持ってズレがあります。
大体2centのズレがあれば聴いてハッキリと分かりますので、
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