Claviola(クラビオーラ)という珍しい楽器の修理を承りました。
Claviolaは以前にドイツHOHNER社が作っていた息を使う
鍵盤ハーモニカに類似した楽器です。
息を吹き込んで鍵盤を操作して鳴らす物で、
音は笛というかクラリネットのような丸みのある独特な音です。
音色や楽器の形状から鈴木楽器の「アンデス」と類似の楽器と思う方も
いると思いますが、発音の原理が全く違っています。
アンデスは複数の笛を鍵盤で選択する楽器で、発音は笛(リコーダー)ですが、
クラビオーラはリードを使っています。
鍵盤で操作して息を吹き込み金属リードを鳴らすという部分までは
鍵盤ハーモニカと同じですがリードの後には音程に合わせた長さの
共鳴管が付いていて独特な音が出ます。
原理としてはクラリネットに近いと思います。
音はアンデスと似た部分がありますが、アンデスは笛の特徴である
風切りのノイズが少し混ざるのに対して、クラビオーラはクリアな音です。
今回の不具合は上の画像の付箋の貼ってある鍵盤の音が
ノイズ混ざりになってきちんと発音しなくなった事です。
幾つかのネジを外すと中が見えてきます。
空気が入る気密部分は透明なアクリル板の蓋になっています。
沢山のネジで留めてある透明な蓋を外すと
鍵盤操作で開閉するバルブが出てきます。
異常のある個所のバルブを外すとリードが見えました。
間違いなく金属リードで発音する楽器という事が分かります。
息で鳴らす楽器なので錆びにくい銅合金のリードです。
リードをよく観察すると僅かにズレがあり、リードとリードフレームが
干渉して発音に問題が出ている事が分かりました。
ちょっと狭くて深い場所ですが、これ以上の分解をせずに直すため、
金属の細い道具でなんとか位置を修正しました。
楽器を元に戻して試奏してみると異常は直って綺麗な音が出ました。
でもちょっと不安なので暫く吹き続けているとまた不具合が再発しました。
予感的中です。
なので再び分解することに。
分解すると透明な蓋の内側には水蒸気が沢山付いていました。
透明だと中の状態がよく分かって面白いですね。
セ
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