以前に点検と修理の見積もりをさせていただいた、
古くて小さな楽器の修理を開始しました。
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小さい楽器ですが、超細鍵盤ですので、
34鍵盤あり、内部にはその4倍の136枚のリードが入っています。
右手側だけで136枚です。
そのリードは木枠にロウで付けられていますが、
経年でロウが劣化して脆くなっているため、各所にひび割れがあります。
リードの固定が悪くなると音に雑音が出たり、調律が安定しなくなり、
楽器として使用する事が厳しくなります。
こちらもリードの接着に問題が出ています。
40年以上経過した楽器は早ければこのような劣化が出ます。
修理するには全てのリードを木枠から取り外し、
付いている古いロウを綺麗に落とした後に新しいロウで再び取り付けます。
この作業は大変時間が掛かりますので、費用もそれなりに必要となります。
ですが、殆どの古い中古楽器はこのような修復はなされていません。
今、大丈夫でも新品より経過年数分だけ早く問題が生じ、
その時には多額の出費が必要となります。
安いという理由で中古を購入しても、後に費用が掛かることを
理解した上で中古を購入しないと後で後悔する事になります。
ロウだけではなく、皮、フェルトなど、その他にも劣化する箇所があります。
問題が出た場合はそれらの劣化部分を交換する必要があるので、
古くて安い中古は、本当は高くて古い中古という事になります。
また、本当の意味で完全に修復されたアコーディオンは安くなりません。
こちらはベースのリードです。
ベースボタンの数は少なくても、和音を出す為に1オクターブ分必要です。
48ベースでも120ベースでも必要なリードの数は変わりません。
通常のアコーディオンでは3〜4オクターブの音を重ねていますので
ベース側にも多数のリードが内蔵されています。
この楽器では96枚あります。
この楽器は一部のリード列が本体に直付けされています。
上の画像がその部分ですが、こういう楽器は修理や調律が大変になります。
この楽器は酷く空気漏れしていますが、その原因のひとつは、
開閉して空気を止めたり、流したりするバルブにあります。
バルブの当たり面に付いている皮とフェルトでできたバルブ材が
接着剤の劣化により剥がれてずれています。
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