日本製の60〜70年前のアコーディオンの修理を行っています。
最初に発音に関する修復を行いました。
前回の記事はこちらです。
今回は右手側の空気の制御部分、バルブを含めた鍵盤の修復です。
鍵盤の高さが大きくばらついています。
鍵盤の高さが大きく変化している場合、原因はバルブに使われているフェルトが
虫害で食われていたり、取れて無くなった事で高さが変わるか、
鍵盤部に力が加わってアームが変形した場合です。
機械的な損傷の場合、高さの変化は一部に留まる場合が多いですが
今回は平均的にばらつきがあります。
ですが、この楽器にはバルブにフェルトが無く皮しか貼ってありませんので
フェルトや皮の損失で高さが変化した訳でもなさそうです。
いずれにしても鍵盤とバルブの修復を行い高さと深さを適正にする必要があります。
皮は古くなって硬化や段付きがあるので全て交換します。
鍵盤を取り外すには軸になっている心棒を抜き取る必要があります。
通常、白鍵と黒鍵で軸の取り付け位置が変えてあるため心棒は2本ありますが
この楽器は古い設計の為、全ての鍵盤を1本の軸で留めています。
このタイプは修復が面倒になります。
古い楽器の場合、心棒が固着していて抜けない場合があり、
心棒が細くて弱い物もあるので心棒を抜くのはとても気を遣う作業です。
これが抜けなかった場合、楽器を破壊する以外に鍵盤を外す手はありません。
幸い、今回は比較的楽に心棒が動きました。
心棒を抜いて鍵盤を全て取り外しました。
鍵盤の下には埃が沢山堆積していますがこの楽器はさほどでもありません。
演奏姿勢では楽器の下部となる高音鍵盤の下に埃が集まっています。
心棒には錆が出ています。
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